インテルの創業者ゴードン・ムーアが1965年に提唱したこの
「ムーアの法則」は、それから40年以上経過した今でも有効
に機能している。そして今後10年以上は続くと見られている。
過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?

勝間さんのこの秋に読んでみたいビジネス書ということで、
早速読んでみましたが、その内容は経済、ITに留まるもの
ではなく、これからの時代に何が大切なのか、自然と考えて
しまう奥深い一冊でした。
インテルの最新技術では半導体の中の線と線の間隔は、
なんと分子5個分しかないのだそうです。ムーアの法則も
この物理的な限界は超えられないので、あと10年ほどで
終焉を迎えると予想されていますが、はたしてこれからの
時代をどう生きるのか?興味のある方は是非一読あれ!
今日もクリック感謝です
目次
第1章 ムーアの法則とは何か
第2章 ムーアの法則で何が変わるか
第3章 ムーアの法則にどう対応すべきか
終章 孤独な世界の中で
概要と感想
■ムーアの法則がもたらすもの
それは、情報処理コストの徹底的な低下。そこで注目すべき
なのは「ボトルネック」。PCでは時間のかかるキータイプ
がWindowsに代表されるGUIとなり、インターネット
では、当初は帯域が不足していたが、ADSLや光回線の拡大
コンテンツへと移り変わってきた。
こうしたボトルネックを解消していくことで発展が加速する
という考え方は、『ザ・ゴール』の考え方そのものですが、
実際の社会の中でそのボトルネックを示してくれる本はほと
んど無いので、本書の有意なところのひとつだと思います。
上記に挙げた以外にも、著作権やデジタルテレビに関してなど
池田さんのボトルネックへの切り込みが圧巻です。
■日本は何故世界で取り残されたのか
ムーアの法則が有効な限り、先端技術もあっという間に陳腐化
し、量産効果でコストが劇的に低下する。この過程の中でコモ
ディティ化したものが量産されるのだが、この量産競争に勝つ
には資源の集中が必須。ここではひとつのコモディティに資源
を集中させる必要があるが、垂直統合型の日本企業、特に家電
メーカーはこれができずに、世界市場の中では取り残されると
いう結果を生んでいる。
DRAMが最もわかりやすい例として挙げられているが、かつ
て、隆盛を誇った日立、東芝などはDRAMの開発では先行し
たものの、海内勢の量産の前に今ではエルピーダメモリ1社と
なってしまいました。
こういったコモディティ化したものに集中する企業と、それらを
組みあわせて製品化する企業に産業構造が「水平分業」していく
のが、ムーアの法則時代の流れ。それを見誤ると、いかに技術力
があっても世界の先頭を走り続けることは困難なのだという
モデルは非常に説得力があります。
また、日本の携帯メーカーが日本の中だけでしか生き残れない
理由なども、なるほど!と思いましたよ。と同時に、池田さんが
「パラダイス鎖国」と呼ぶ、日本独自の参入障壁の高さが、かえ
って日本メーカーが海外で通用しなくなる構造を産んでいるのが
皮肉というか。
■混迷の時代を生きるために
ムーアの法則により、情報処理コストが下がり、ITの発達で
資本が国境を越えて利益を求めて大移動する時代。そして、イン
ターネットで人々がフラットに繋がっていくという時代。
これから先の世の中では、人々はネット上だけの繋がりでは孤独
になっていってしまうと池田さんは言う。そして人類はこの孤独
に耐えられるのだろうか?という問いで本書は幕を閉じる。
欧米では、個人主義、民主主義は宗教という土台のもとに構築さ
れてきており、人間が個人として拠って立つベースが存在してい
る。これは今発展途上にある中国やインド、さらにイスラム諸国
も同様だ。個人として孤独な環境にあっても、宗教という思考の
ベースが確立していればそれに耐えることもできるでしょう。
また、ネットの発達により、逆に今まで以上にリアルな人間関係
の重要性が浮き彫りになってきた、とも言えると思います。同時
に、宗教的な基盤を持たない日本人の多くは、より個々人の中に
拠って立つものを見つけることが必要になってきたと思います。
それが、スピリチュアル、潜在意識などの、目に見えないものの
重要性への回帰なのかもしれません。また、サドベリースクール
のような、本当に自分がやりたいことを自分の力で見つけていく
ような教育が、1つの選択肢として求められる時代になったのだ
と思います。その大人版が、本田健さんのいう「ライフワーク」
を中心とした生き方なのではないでしょうか。
ということで、池田さんの、「孤独に耐えられるだろうか?」と
の問いへの回答は、僕は楽観的に「耐えられる生き方がある」と
いうものになりました。
過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?
池田 信夫

by G-Tools
みなさんも、本書の問いに、自分なりの回答を見つけてみては
いかがでしょうか?
時間の関係で、多少短めに切り上げてしまいました(汗)
ここまで読んでくれて、ありがとうございました。
にほんブログ村 本ブログへ
![ゆほびか 2008年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/513FE82bcVL._SL160_.jpg)

